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第3回 証明するのは誰?


今回も、税務訴訟を取り上げたいと思います。

今回の事案は、移転価格税制に関するものです。


この事案は、地裁では納税者が敗訴しました(東京地裁平成19年12月7日判決)。

ところが、高裁では納税者が逆転勝訴しました(東京高裁平成20年10月30日判決)。

そして、そのまま、納税者勝訴で確定しました。

通常の民事訴訟でも、地裁で敗訴した当事者が、

高裁で逆転勝訴するということは、とても大変なことです。

これが、税務訴訟、しかも、

これまでわが国では納税者勝訴のない移転価格税制の訴訟で、

納税者が高裁で逆転勝訴したというのですから、

着目される事案であることは間違いありません。

移転価格税制とは、簡単に言えば、

親子会社などの関連企業の間では、第三者間での取引で設定される

通常の価格とは異なる価格により取引が行われることがあり、

そのような関連企業における取引については、

第三者間での通常の価格で取引が行われたとみなして課税する、というものです。

ここで問題なのは、何が通常の価格なのか、ということです。


その算定の方法は、租税特別措置法に規定があるのですが、

そこで定められている方法のうち、どの方法で算定すべきなのかが争いとなります。


それでは、どの方法によって算定すべき、ということは、

誰が裁判所に対して証明するのでしょうか。

課税処分を行った課税庁でしょうか。

それとも、訴訟を提起した納税者でしょうか。


これが、「立証責任」の問題です。 

次回に、もう少しこの話を続けようと思います。

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